うつ病となった木村隆の母はどうなってしまうのか?

公開日: : 最終更新日:2014/06/05 東洋医学研究所双龍門の活動報告書

うつ病となった木村隆の母はどうなってしまうのか?

うつ病によりあなただけでなく、ほんとに多くの身近な人が苦しんでいると思う。

そしてこの私も研修医時代、実際に私の母親がこの病魔に侵されてしまったのだ。

母親は当時、50代前半であったが、年齢の割に物忘れが多く、非常に疲れやすく朝も全然起きれないというあり様。

その上、食欲はなく、肩こりや頭痛に悩まされ、趣味のピアノも全然やる気が起こらないという状態であった。

元々は、薬剤師としてバリバリと働き、亭主関白で全く家のことをしない父親の世話を完璧にこなしながら、子育ても一人でやり遂げたパワフルな人であった。

しかし、研修医時代の私は忙しく半年ほど母に会えておらず、久しぶりに会ったその人はまさに別人であった。生気が感じられず、心なしか老け込んでしまったようにも思えた。

そして私の信頼する総合診療科の部長先生に診察してもらった結果が、何と「うつ病」。

はじめは信じられなかった、というよりは信じたくなかったが、調べれば調べるほど母はうつ病という確定診断が自分の中でくだっていくのを感じた。

こうして私の母のうつ病治療闘病記が始まるわけだが、まずは有名な精神科クリニックの院長のところに足を運んだ。

有名な精神科クリニックでのお薬による治療

そのクリニックは人気のためホントに予約がとりにくいらしいが、上述の部長先生の計らいで特別に時間外で予約をとってもらった。

そこでも予想通りうつ病と診断され、まずはお薬による治療を開始しましょうということになった。

そのお薬は当時日本で発売されたばかりであった新しいうつ病の治療薬で、専門的には選択的セロトニン再取込阻害薬と呼ばれるものであった。

私は自分なりにガイドラインを調べるとそのお薬はうつ病の第一選択となっていたし、何よりもその有名な院長先生を信頼し、安心しきっていた。

しばらくたって父親から私に電話があった、「お母さん、真面目に通院しお薬もちゃんと飲んでいるが全然良くならないんだ。どうしたらいいんだ?」

私は研修医で忙しいのと、勝手に安心しきっていたのもあって、父親からの連絡に耳を疑った。

それまでは直接その有名な院長先生に会ったことがなかったが、こうしてはいられないと思い、次回の診察時に母に付き添って治療方針の説明を受けることにした。

そして当日、物腰の柔らかい院長先生は以下のように私に丁寧に説明してくださった。

「お母様は典型的なうつ病で、これまでフルボキサミン、アモキサピン、スルピリドなどの抗うつ薬で治療を行ってきましたが、今のところ改善がみられません。私としては現在アメリカで一番使われているフルオキセチンという抗うつ薬を使ってみることをおすすめします」

その院長先生がおっしゃる通り、フルオキセチンという薬は日本未認可であるが、アメリカで爆発的に使われ、HAPPY DRUGと呼ばれていた抗うつ薬であったので、自己輸入して使ってみることにした。

しかし、それでも一向に母の病状は良くならない、、、いやむしろ悪化しているようにも感じた。

私はその有名なクリニックの治療に不信感を抱き、失礼を承知で勝手に別の大病院の精神科に転院させていただくことにした。

大病院精神科で行われた精神療法とは

その大病院には紹介状を持たずに受診したところ、はじめは窓口の段階で門前払いを食らいそうになった。

しかし、私の医大生時代の同期がその大病院で研修医をしていたこともあり、いわゆるコネで精神科受診までこぎつけてもらった。

その大病院の精神科は、うつ病の治療として効果が証明されつつあった認知行動療法を積極的に行っているところであったので、私はその治療を希望した。

担当の先生は、私の希望を快く受け入れてくれ、早速認知行動療法による治療を母親に開始してくれることになった。

ちなみに認知行動療法というのは、うつ病になる人は物事のとらえ方が歪んでいたり極端であったりするため、それを中庸で柔軟な考え方に修正していくために行っていく治療法である。

診察の度に、生活記録表やコラム法という宿題が出され、次の診察までそれを行い主治医に提出、診察の場でフィードバックしてもらう形で治療がすすめられた。

母はそれを辛い体調の中、何とか頑張ってこなしていたようであったが、ある日宿題がこなせず、病院にも体が重くて受診できないという状態になり、その後も治療が継続できなくなってしまった。

私は自分が良かれと思ってすすめた治療が、結果的に母を苦しめてしまったことで、医師としてすっかり自信を失ってしまった。

同時に現在の精神科治療、つまり西洋医学に対する不信感がさらに募り、私は医大生時代にお世話になった漢方医学の先生に相談してみることにした。

母のうつ病は漢方医学で良くなるのか?!

その漢方医学の先生は医師としては珍しく現在はリタイヤされているが、当時は大学病院を辞められ中規模の病院に嘱託医師として勤められていた。

私はまずは母親を連れて行かず、自分だけでその先生のもとを訪問した。なぜなら母の病状が良くなかったのもあるが、母は西洋医学を信奉している薬剤師であったことを私はよく知っていたからだ。

漢方の先生に、母の性格や体質、うつ病になった経緯、これまでの治療内容や現在の状態など詳細に話した。すると先生は次のように話した。

「お母様はたまたま西洋医学の治療が効かない群に入ったのかもしれないね。なのでこれ以上、西洋医学で治療しても辛いだけでしょ。なので東洋医学的な治療を中心に行ったらいいんじゃない」とアドバイスを受けた。

その上で「あとはお母様、やっぱり子育てがひと段落して喪失体験があったのかもしれないね。木村先生は研修医で忙しいかもしれないけど、一緒に暮らしてあげた方がいいかもしれないよ」とも言われた。

私はその漢方の先生のアドバイスに従って、母親の治療を行っていくことにした。とはいっても母も薬剤師、なかなか言うことをきかないので、母が飲み心地が良いと感じる西洋薬だけは少量継続することにした。

朝はなるべく太陽の光を浴びるようにさせ、食事は健康に良いと言われるものを、これまで全く料理をしなかった父が作り、夕方に一日おきに父と軽いジョギングをさせ、そして2種類の漢方薬を煎じて飲ませた。

家事は母がやりたいこと以外は全くさせず、父が積極的に行い、私も休日はなるべく母とのんびり過ごすように努めた。

焦らずゆっくりと上記のような治療というより療養・養生を行っていった結果、母は徐々に本来の姿を取り戻していき、半年も行ったところすっかり良くなっていた。

はじめに母の様子がおかしいと父から電話をもらってから、かれこれ1年半も経過していた。こころの風邪と呼ばれるうつ病は、時間がかかったうえに現代西洋医学治療が効かない経験を母を通して思い知らされた。

母のうつ病闘病記を通して、私はうつ病、そして西洋医学に不信感を持ったが、逆に未完成なこの分野の治療を何とか成熟させてやろうと思い、こうして精神科の専門家になることを決意したのである。

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この記事を書いた人

木村 隆
医学部在学中より中国伝統医療、東洋医学(中医学)に興味を持ち、そのセルフヘルプ効力の程に感動を覚え、独学で勉強をすすめる。

現役の「精神科専門医」として都内有名大学病院で診療・研究を続けながらも、西洋医学のみのうつ病治療、日本の漢方薬治療に不全感を感じていた。本物の東洋医学(中医学)の師となるドクターを探し求める内にマレーシアジョホールバルで東洋医学(中医学)を用いた医療活動を行っているドクター黄龍英氏の噂を聞きつけ、教えを乞うために現地に訪れる。

実際の対話後、その治療技術と見識のレベルの高さに驚愕し、以後中国伝統医療である東洋医学(中医学)を真剣に学ぶ決意を固める。何よりも沢山の患者さんに「うつ病」を改善してもらうために。

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