精神科のお薬が多剤併用されることにメスが!そして漢方薬にも影響が!!

公開日: : 最終更新日:2014/07/11 東洋医学でうつ病は改善できる理由

精神科のお薬が多剤併用されることにメスが!そして漢方薬にも影響が!!

うつ病治療におけるスタンダードと言えば、抗うつ薬をはじめとする向精神薬、いわゆる西洋の精神科のお薬である。

そしてそのお薬には副作用や依存性など様々な問題が存在し、にも関わらず実地の精神科医は多くのお薬を出し続けてきた。

しかし、この度、そんな杜撰な精神科のお薬の大量処方に対して、ようやくお上からメスが入った。

平成26年度の診療報酬改定において、「一定数以上の多剤併用処方に関しては、処方料・処方せん料等を減算する」というものだ。

まずはその詳細をみてみたい。

向精神薬の多剤併用に対するペナルティーとは

精神科のお薬である向精神薬は、大きく分けて5つのカテゴリーが存在する。その5つとは、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、そして気分安定薬である。

その5つのうち4つが、多剤併用を行っていると、医療機関の主たる売り上げの源である診療報酬を減らされるというわけだ。

具体的には、抗精神病薬と抗うつ薬は4剤以上、睡眠薬と抗不安薬は3剤以上処方していると、診療報酬を強制的に引き下げるという内容になっている。

引き下げられる診療報酬の程度は、「処方料が42点から20点へ、処方箋料が68点から30点へ」と引き下げられると発表された。

診療報酬は点数制であり、1点あたり10円である。つまり患者さん一人当たり、-22点+(-38点)=-60点=-600円、つまり600円の減収となる。

具体的にみてみると、仮にクリニック1店舗当たり毎日50人の患者さんをみていて、週休1.5日であったとする。

すると1週間当たり、600円×50人×(7-1.5)日=17.5万円の減収であり、1か月当たりに換算すると17.5万円×4=70万円の減収となる。

「ひと月あたり70万円の減収」、こりゃマズイと単純に考えてもわかるであろう。現場は必死になって多剤併用を止めようとしている。

確かにこの状況はうつ病患者さんにとって良い改革であるが、現場だってなかなか狡猾なのである。あの手この手で対処し、ついにその弊害が「漢方薬」にまで及ぼうとしているのだ。

今回の改定により漢方薬はどうなるのか

まず初めに申しておきたいのは、「抗精神病薬と抗うつ薬は4剤以上、睡眠薬と抗不安薬は3剤以上」というのは実際はなかなか処方しないということである。

事実、私木村隆はこれまでの精神科医人生でこの条件に当てはまる処方はほぼしたことがない。

しかし、現場ではこのような多剤併用の処方が横行しているので、今回の改定に踏み切ったようであるが、現場は生活がかかっているのでやはり対抗策を講じているようだ。

まず一つ目は、今回は多剤併用を禁止しているが、1剤当たりの大量処方は規制の対象外だということだ。

私が小耳にはさんだのは、「今だしている4剤の抗不安薬を2剤に減らすかわりに、その2剤を今までの倍で処方すればいいんだよ」と言っている精神科医がいた。

確かにちょっと古いタイプの薬であれば倍で処方できるかもしれない、なるほど!・・・いやいや感心している場合ではない。

次に二つ目は、薬によってはいくつかの効果を持つため、カテゴリーが異なる薬を巧みに組み合わせればペナルティーにはかからないということだ。

具体的には、デパスという薬。この薬は抗不安薬であるが睡眠作用が強い。睡眠薬が多く出てしまいそうだが、抗不安薬はあまり出ていない人に対して、デパスを処方すればいいということになる。

このように抜け道はいくらでもあるのである、まあどの業界でも同じなのだが。

そして三つ目の問題。これが今回の改定がわれらが漢方薬にまで影響を及ぼしてくるというわけだ。

どんな影響かというと、漢方薬には抗不安作用や睡眠作用を持つものが多数存在するが、これらは規制の対象外ということだ。

全然問題ないじゃん、と一瞬思うかもしれないがそうでもない。現場では、「漢方薬は規制がないんだから、西洋の薬を1剤減らすかわりに、漢方薬を2~3剤加えてやろう」という意見も聞かれるのだ。

そもそも漢方薬は、陰陽五行説に基づく東洋医学の知識に習熟していなければ効果を出させることが難しいのだが、これまで全く漢方薬を処方してこなかった素人の精神科医がどんどん処方しようとしているわけだ。

これには正直怖い、と感じるのは私だけであろうか。

漢方薬がこのように不適切に使用されることで、副作用などの有害事象がクローズアップされ、時々法案にあがる漢方薬の保険適応外化に拍車がかかってしまう、という最悪のシナリオさえ浮かんでしまう。

今回の精神科のお薬の診療報酬改定により漢方薬の処方は間違いなく増えるだろうが、それが東洋医学の活性化といういい作用に働くことを願うばかりである。

追伸

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この記事を書いた人

木村 隆
医学部在学中より中国伝統医療、東洋医学(中医学)に興味を持ち、そのセルフヘルプ効力の程に感動を覚え、独学で勉強をすすめる。

現役の「精神科専門医」として都内有名大学病院で診療・研究を続けながらも、西洋医学のみのうつ病治療、日本の漢方薬治療に不全感を感じていた。本物の東洋医学(中医学)の師となるドクターを探し求める内にマレーシアジョホールバルで東洋医学(中医学)を用いた医療活動を行っているドクター黄龍英氏の噂を聞きつけ、教えを乞うために現地に訪れる。

実際の対話後、その治療技術と見識のレベルの高さに驚愕し、以後中国伝統医療である東洋医学(中医学)を真剣に学ぶ決意を固める。何よりも沢山の患者さんに「うつ病」を改善してもらうために。

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